旅ゆけば~よろずな diary~

旅の記録と日々のあれこれを綴った日記です。

「あなたに話してよかった」という言葉が、胸いっぱいに広がって、私の心に春が来た。

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4月になったというのに、この寒さ。

でも、私の心は暖かい。

そりゃもう、冒頭のウエディングフォトのせい。

 

たまりませんわ~。

 

outblue69.hatenablog.com

 

そして、もうひとつ。

 

先週、最近はほとんど使っていないキャリアメールに、5年前の職場のお取引先の女性から連絡があった。

彼女は私より少し年上で、もと小学校の教員。私はここ数年、学習支援に関わる仕事をしているので教育畑の知人が多いほうではあるが、とりわけ彼女とは仕事の話のほかにもたくさんの話をした。

すごく簡単に言うと、年齢関係なく感覚が似ていて波長が合う人。

コスタリカやラオスなど、私が行ったことがないような地域にも渡航歴があって、そういった面でも話をしていて楽しかった。

 

私が当時、心身を壊してその職場を去ることになって以来、取引先の彼女までは連絡が途絶えてしまっていたのだけれど、色々なひとづてに風の便りで私の様子を案じてくれていたという。

 

「ぜひ聞いてほしい話があって、できたらアドバイスも欲しい」

 

もと教員である年長者に、私がアドバイスできること???

 

ひとまずLINEで連絡をとれるよう、試行錯誤し(笑)

せっかくだから会いましょうと、

彼女がべトナミーズカフェを予約してくれた。

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彼女の話は、カテゴリー的には予想していたのだけれども、それをはるかに超える話だった。

 

私の教員時代のお友達が、ご主人を亡くして喪失感から生きる気力を失くしてしまってね、ちょっと電話の様子がおかしいから心配になっておうちに行ってみたの。

もともと、きちんとしている人だし活発だし。

リタイアしたあとも自宅をミニ映画館みたいにして人を集めてお茶をふるまったり熱心に社会活動していた人だったのに、ちょっとショックな変わりようだったの。

いわゆるゴミ屋敷のようになってしまって特にキッチンがひどくてね。

まず友達として何ができるのかって考えてしまって。

 

一瞬、絶句した。

でも、自分の経験で言えることがある。

 

喪失感からうつ病に進行していると脳の機能が低下するので、家事はおろか簡単な片づけでもできない。ゴミの分別なんてなおさらだ。

あと、私の場合は季節感がなくなり衣替えもハードルが高かった。洋服を着ては脱ぎ、脱いだ服を片づけることすらできず、しかもそれでパニックになる。

 

ゴミ屋敷のようになってしまうのは、決してだらしなくなったのではなく、私はうつ状態がかなり進行しているからだと思う。

だから物理的にそのゴミを片づけること(例えば業者さんとか自治体を呼んでとか)より先に、その方の精神状態をしかるべく医療機関に診てもらうことのほうが先決だと思うとお話した。

 

私は、入院してあの時必要だった環境に自分を置くことができて、いまの状態を取り戻した。

近しい人を失くされた喪失感からそのような状態になってしまったのなら、環境に加えて時間もある程度必要なのだと思う。

 

それと・・・・・

 

これは、ずっと葛藤し続けていることではあるけれど、友だちでも家族でもできることには限界がある。24時間ずっと一緒にいることはできないから・・・

 

「今、桜がきれいだから、外にお花見に行こうって誘いだそうかな」という彼女に、

「その気持ちはすごくわかるんです。でも、たぶんなんですけど今その方の景色には色がない状態だと思うんです。」

「色がない状態?」

「私も晩秋だったんで、いちょうが綺麗ねって母に言われて。でも自分の目に映ってるのはモノクロの景色なんですよ。現実感がないっていうか。離人症っていう状態らしいんですけど」

 

「そうなのか・・・。」ふっとため息をついたあと、

 

「あなたに話して本当に良かったわ」と彼女が言ってくれた。

その言葉に、あの時の自分にあたたかい春が来たようなふしぎな感覚を味わう。

 

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「散る桜、残る桜も散る桜」

逝ってしまったご主人、そしてわが身。

こんな句のように思えたら・・・

いや、そう簡単にはいくまい。

でも、その方が少しでも癒えて、いつもの自分に戻ってくれればいいなと願いながら、桜を見上げる。

 

私にできることは間接的にこうして思いを寄せることしかないのだけれど。