旅ゆけば~よろずな diary~

旅の記録と日々のあれこれを綴った日記です。

むやみに「わかる~」と言いたくないから、思わず自分の過去を話してしまった・・・お話。

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いまの私の仕事は基本持ち場は一人で、シフトは早番・遅番の2交代制。

ただ交代の時間の2時間だけ忙しくなる時間だし、引き継ぎもかねてふたり重なるという勤務体系。

一人で不安なこともあるけれど、人間関係のゴタゴタがないのはありがたいし、その2時間は主婦同士のちょっとした会話もできるから、それもいい。

 

その日重なった同僚は、出勤そうそう、

「ゴメン。娘の学校から電話だ!ちょっとはずすね」と外に。

 

彼女は、私よりひとまわりぐらい年下の40代、中学生の娘を持つお母さん。

この職場では大先輩で姉御肌。私なんかより全然しっかりしている人だ。

 

少しして、彼女が戻ってきた。

 

「実はね、娘が去年の秋ごろから不登校になっちゃって。でね、学校が冬休みの時はよかったんだけど、今年になって学校が始まった頃からさらに情緒不安定になってきて・・思春期外来に行ったら起立性調節障害と思春期うつかもって。」

 

もともと勉強もできて、学級委員など積極的にやっていた真面目で利発な娘さん。

どうやら学校の弁論大会のような場で発表の後、ある男子生徒に「ただの自慢じゃねーかよ」って言われたのがきっかけだったらしい。

 

子どもがいない私はこういう時、ただただ「そうだったの・・・」って聞き手になるしかない。

そして「昼間ひとりじゃないよね?たしかおじいちゃんとおばあちゃん同居だもんね」と、付け加える。

 

さらに彼女が続けた。

「学校をイメージするものに触れるだけで体がこわばったり泣き出したり。」

「この間なんて気晴らしにと思って少し遠いショッピングモールに連れ出したんだけど、同世代の知らない女子がクレープ食べてるのを見ただけで震えてて。吐きそうだからってトイレから出てこなくて。結局、やっぱり外出られないから帰ろうって言うし」

 

わかる・・・・←私の心の声

 

「でね、担任が修造入ってて」

(※松岡修造さん、わたし大好きなんですがゴメンナサイ。ここでは熱血の先生の例えです💦)

「その男子に謝らせるとか、アポなしで家に来たり。今も、とにかく娘と話がしたいとか言うの。いま一番会いたくないでしょ。」

 

わかる・・・・

エネルギーがない状態の時は気合とか熱血ってまったく無縁だもの。

 

「学校に行けない罪悪感でいっぱいで、悲劇のヒロインみたいになってる。親が別に行かなくてもいいよって言ってるんだから気楽に考えればいいのにね」

 

わかる・・・・

罪悪感が頭の中で無限大。

いままで日常生活だった外へ一歩出たら、針の筵(むしろ)にさらされてるような、家族にも人にもわかってもらえない感覚。

 

私は、ここまで聞いて、もう黙っていられず・・・

 

実はね、この職場に面接に来る10日前までうつ病をこじらせて精神科に入院していたの。

入院する前は、家事も仕事もできなくなっていて家で横になってるしかなくってね。前の職場の退職届を書くときに、ただ日付と名前だけ書けばいいのに3日ぐらい書けなかった。泣きながら震えながら書いたの。で、大の大人がポストに入れるのも自分でできなくて、実家に身を寄せてたから親に出してもらった。それを出したら日常から切り離されたみたいな気持ちだったのかな。

 

それでも無理やり日常に戻りたくて外に出たんだけど、家の前の道路工事の職人さんにも「みんな働いてる・・・」公園に行けば子連れのお母さんに「みんな育児頑張ってる・・・」って罪悪感でいっぱいになってた。

 

そんなことがあったから、いまの娘さんの心の状態がちょっぴりわかるよ。

あとね、お母さんが正論を突きつけずにしかも娘さんを否定しない大らかなこころでいてくれるから、娘さんはすごく救われてるの。

 

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わぁ、とうとう話してしまった。

 

彼女は普段の私とのギャップに驚いていた。

でも、さすが年下の姉御。

「えっ?じゃあ、鉄格子から娑婆に出て(!)2週間ぐらいでウチに入社したの?」

「うん。あのころまだ薬飲んでた 笑」

 

そして、改めて

「はじめてだよ。この話をして娘の今のこころの状態がわかるって言ってくれた人。だいたいママ友とか同世代は不登校っていうと大変だねーって言いながら、興味本位で根掘り葉掘り聞いてきたり。高校どうするの?とか、娘の気持ちは置き去りっていうかさ。」と言ってくれた。

 

 

思春期うつにあてはまるかどうかはわからないけれど、家族は「水鳥のように」見守るのが理想という。

これは、口で言うほど簡単ではなく、

「なんとかなるさという大らかな気持ちで」かつ「あきらめられた感は出さず」

一言でいえば、寄り添うという言葉が近いと思う。

その点では、よその人からは過保護と見られても、仕方ないと感じている。

 

そして、ひとりにはさせないように・・・・・。

 

 

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今はネットで自習もできるし、娘さんも学校には行かなくとも勉強はしているそうだ。

 

思いがけなく過去を打ち明けてしまった自分も、かげながら水鳥のように娘さんを見守ることにしよう。