年末に図書館でたまたま手に取って借りた本。
予想通り全然読めずに年を越した。
借りた本のタイトルは乃南アサの『火のみち』
上下巻である。
私は、小説だったら短編よりも長い大作が大好き。
上下巻はもちろん、10冊ぐらいの続き物だったらなおさら読みごたえがあって好き。
長編好きになったきっかけの作品といえば、
黒岩重吾『さらば星座』と山崎豊子『大地の子』の2作品だと思う。
どちらも長編であることと、戦後孤児になった少年がたくさんの体験と経験を経て大人になっていくストーリー。
さらに満州など旧日本領だった中国大陸が出てくるということが共通している。
そして。
今日むさぼるようにいっきに上下巻読んでしまった、乃南アサの『火のみち』も、なんとこのカテゴリーだった。
あらすじ(ウィキペディアより抜粋)
終戦後、家族と共に満州から引き揚げて来た南部次郎。母親が亡くなり、そのわずかな葬儀費用を用立ててくれた男は、借金の形にと、妹・君子を売り飛ばそうとした。妹を守るために男を殴り殺してしまった次郎は、もう誰も信じられないと、燃え盛るような憎しみを増大させていった。
その激しい感情を鎮めてくれたのは、刑務所内での刑務作業で出会った備前焼だった。冷たい土を練り上げていると、嫌なことを忘れられた。刑期を終えた次郎は陶芸家の城島に正式に弟子入りし、その道を着実に歩んでいく。一方、妹の君子は女優として成功を収めつつあった。
昭和の情勢を交えながら一人の男の人生を描く。
どストライクってやつだ!
乃南アサさんという名前の響き、いっけん若手小説家なのか??とか、淡い恋バナ小説じゃないの?と思って新刊コーナーではいつもスルーしていた失礼な自分。
ごめんなさい。すべては名前からのイメージです。
もう懺悔の気持ちしかない・・・・・💦
主人公の南部次郎は戦争ですべてを奪われた上に、人買いから妹を守るために殺人という罪を犯し刑務所で10年。
やがて刑務所での作業としてめぐりあった陶芸にめざめ、出所してからじぶんの故郷である中国大陸の空の青に似ている青磁にのめりこみ、晩年命を終えるまでを見事に描いている。
青磁。空の色の青の焼き物かぁ。
空の青といえばウズベキスタンの青を思い出す。
あの青にあこがれて私も旅に出たんだったな。
刑期を終えた南部次郎が探し求めた青の焼き物とはどんな青色だったんだろうか?
想像を膨らましてロマンも生まれた。
こんなに読了感が大きく気持ちが高揚した小説に久しぶりに出会って、今年は乃南アサ作品を読みあさりそうな予感がします♪