この夏、まるで小学生の夏休みのようにガツガツと本を読んだ。
いつもの夏のように、チケットを買って計画を立ててフラッと旅に出ることができない鬱ぷんを、本の中の世界に入ることで非日常を味わう作戦でもあったのかな。
だってさ、
1年経ったウズベキスタンへの旅をずーっと引きずっている。
そろそろ新しい恋人見つけなさいな・・って自分で自分に言い聞かせている。
そんな夏の読書の1冊。
窪 美澄 「たおやかに輪をえがいて」
まず、主人公の絵理子が自分と同い年という偶然の縁。
良き妻良き母、日々の暮らしにさしたる不満もない普通の主婦が夫の風俗通いが発覚したことを境に何もかもばかばかしくなり、家庭の枠からはずれて今まで考えもしなかった世界にとび出していくというストーリー。
離婚はしない。(ネタばれだけど)
まあ、よくあるっちゃある小説なんだけれども。
何故か、バキュンと心奪われてしまった。
(ちなみに、世の男性へ。風俗通いは完全犯罪でお願いします☺)
それだけではない。
読み進めていくうちに、主人公、絵里子の迷いや葛藤、こころの動きにまるで自分が友達の話を聞いてあげているときの気持ちになっていったのです。
絵里子がメンタル的に弱っているときは寄り添い、新しいことを始める時には応援し背中を押すように・・・・
50歳前後の女性って、子育てを経て空の巣症候群になったり、逆に親の介護で疲弊して介護うつになってしまったり。それに加えて更年期の症状でホルモンバランスが崩れてしまう人だってたくさんいる。
職場でも若い世代から見ればオバサンだもんね。
拠りどころを失ったら、本当にバランスを保つのが大変な世代なんだよなー。
でも、それを乗り越えたら無敵なんじゃないかな。
自分で気づいていなかった女性の強さ、そしてまさに『たおやかさ』が加わってくる気がする。
私自身も、ちょうど50手前で更年期の鬱をこじらせ精神科に入院した経験がある。
あのときの「自分の体が自分でなくなるような、ざわざわした不穏感」や「刃物やベルト、タオルやロープが目につき遺書まで書かせた希死念慮の恐怖」は、いまでも覚えている。
あと病院どこ行っても「なんの異常もありません」って言われるつらさ・・・
だけど3年経って元の元気な自分に戻った今、もしあのつらさをかかえている人が近くにいたら、話を聞いて寄り添いたいと強く思い始めている。
(そんなことを言っててもこの夏、元気だったご主人が突然亡くなって途方に暮れている友人になんて言葉をかけていいか、ずっと考えている私なのであるが・・・)
この1冊に出会って、私のコロナ後の新たな道がうっすらと形になってきた。
どんな困難にも負けない真の強さを持った『たおやかな』女性を目指してみよう。
そして旅に代わる新たな恋人は見つからないのだが、秋の夜長に「人に寄り添う」「傾聴する」ことを学びとしてトライしてみようかな・・・とも思っている。
今週のお題「読書感想文」