いよいよ街を走るカーキ色の車もジープに見え(重症だ。汗)中隊長を探しているおかしなオバサンになっている私ですが、(あ、また「愛の不時着」の話です・・)
そんな我らのリ・ジョンヒョク中隊長の、
「好きでなくても結婚はできるけれど、他の人が好きなまま、あなたと結婚はできない。」
という、とある日のセリフ。
結婚式まで決まっている親の許婚(政略結婚)の相手に、結婚をお断りするシーンなのだが、北朝鮮という日本とはまたちがった環境での一言ではあるけれど、なるほどなぁと思ってしまった。
わたしたちだって、昔から「恋愛と結婚は違う」とか、言うもんね。
そんな中、辻村深月「傲慢と善良」を読んだ。
タイトルから内容は想像できず、何も考えずに借りてきたらなんと!『婚活』の話だった。
辻村深月さんと言えば、「かがみの狐城」がベストセラーなのだが、図書館では長いこと順番待ち。
なので、それなら今借りられる辻村作品を・・・と、これを借りてきた。
お初の辻村深月ワールド。
人の「生きづらさ」を切り取って作品にする。
個人的には柚木麻子さんの作品とか好きな方は、ようこそって感じかな。
あと・・・冒頭から読者を引き込むのってスゴイ!
こんなに分厚いのに、3日で読んでしまった。
ここから、少しだけあらすじを。
東京在住の主人公30代のカップル「架(かける)」と「真実(まみ)」は今どきのマッチングアプリで知り合い、交際を経て同棲し結婚の日取りを決めた。
しかしある夜、架が帰宅すると真実の姿がなく行方不明に。
真実は過去、実家のある群馬にいた頃ストーカー被害にあっていると架にこぼしていた。
架はきっと、彼女の失踪にこのストーカーが絡んでいるに違いないと警察に調べてもらうがいっこうに手がかりがつかめず、自ら群馬に出向き実家の両親や姉、同級生などに会い、小さなことでも情報を集めていく。
私が時間も忘れて夢中になって読んでしまったところは、ここ ↑
婚約者である真実の幼少時代から学生時代、婚活、お見合い相手までもがだんだんリアルになってきたときの架の心情。
「善良な女が見せた傲慢さ」
俺が知らない真実がそこにいた・・・・
そんな感じだろうか。
たしかにマッチングアプリで知り合うことに限らず、お互いの過去などは話さずにも結婚までたどり着く場合もあるかもしれない。
例えば生まれ育った地でどんな暮らしをしていたのかなんて、本人が話さなければ知らずにいる事だってあるのは当然のこと。
実際に、私も結婚して少したった頃夫から「俺、1回だけお見合いしたことあるんだよ」と聞かされたことがあった。
お付き合いしてた人が親の病気で疎遠になってしまったことは聞いていた。
でもお見合いの話は、初耳だ。
「ドライブした帰りにファミレス行ったけど、楽しいのかつまらないかもわかんないし、なんか話もなくてさ。そのあと長い丁寧な断りの手紙が届いてそれ以来お見合いとか嫌になっちゃって。」
リアルに知り合って夫婦でいても、そんな過去のひとコマを知らなかったんだから。
そんな、自分がしたことない「婚活」や「お見合い」の大変さ、あと「子離れできない母親」をめぐる描写がリアルすぎて胸が痛くなった。
それと、「結婚しないの?」という周りの言葉のプレッシャー、これは私も経験ありありだから共感できる。
30代のころ自分の周りにおこったことか?というぐらいのリアルさに少し冷静にならなければ・・・と思ったくらい引き込まれた。
興信所も真っ青なぐらいの架の、真実の過去への旅。
このまま「ストーカー探し」で話が進んでいくのかなぁ~なんて思っていたところで、
「えーっ!?」
という、思いもよらなかった展開になるのが、さすが!
そして後半は失踪後の真実側の目線で物語が始まり、驚く場所でラストまで・・・。
(後半はくわしく書かないでおこう・・・・・)
辻村深月ワールド、ハマっちゃうかもしれない。