新疆ウイグル自治区 (トリップアドバイザー提供)
相変わらず、時間があれば本を読んでいます・・。
だって~。
休日だからって、どこにも出かけない時もあるのだもん。
今は、近藤史恵さんにどっぷり。
こうなったら近藤作品を読み倒してやろう!と思うぐらいはまってしまって、片っ端から読んでいたら・・
いかにも私が好きそうなワードが並ぶ1冊に出会ってしまいました。
・中国ウイグル自治区
・国境や宗教、世界情勢
・シルクロードを列車で旅
でもね、
出だしは普通の大学生の恋愛物語か?って思っちゃうところが、この小説のすごいところ。
学生って言ったって70年代とかじゃないんですよ、平成の大学生の話なんです。
その小説とは・・・
講談社HPよりあらすじ
大学生の広太は小さな悪意から親友を死なせてしまう。平凡な大学生活から一転、極寒の北京で日本人留学生の鵜野と出会い、広大な中国西部を旅することに……。終着地のウイグル自治区で、広太は生きる意味を見いだせるのか?
タイトルはいかにもミステリーですよね。
『砂漠の悪魔』だもん。
失礼ながらよくあるミステリーの本のタイトル。
タイトル買いは絶対しないな~っていう(笑)
でも、この『砂漠の悪魔』というのが、読み終わった時とっても重要。(意味深・・。)
どこにでもいる普通の大学生の広太が、先輩の女性をめぐって親友を自殺に追い込んでしまったところから物語が、はじまります。
はっきり言って、この時点では全然読む気がしなかったんですよね。
近藤作品。自殺はけっこう出てくるテーマだし、
こんな大学生の話もあるんだーみたいな。
でも・・・。
その親友を自殺に追いやった自責の念と闘いながら、ある事情で中国へ渡ることになり、そして北京に日本人の友達ができて。
主人公の広太が2度目に中国へ向かうあたりから、もう私は本の中から抜けられなくなっていました。
まさか!
大学生の色恋トラブルから中国北部の人種差別・迫害・宗教問題にまで話が発展するなんて誰が想像するでしょうか??
シルクロードという言葉だけで思いを馳せてしまう私は、広太が列車に乗って大陸を渡るところなんて、まるで旅行記を読んでいるかのようでした。
それにしても・・
親友を自殺に追い込んでしまった主人公の広太。
私ぐらいの歳になってくると、親友とかっていう言葉はくすぐったい感じはするけれど・・。
確かに若いころは「親友」というものにとらわれてたり、時には一方に恋人ができてお互いの気持ちが変わってきたりして、イラつく関係になったりもするだろう。
そんなことは、よくある話。
だから、そこから読者をウイグル自治区カジュガルまで連れていくなんて・・
こんなミステリーというか、こんな展開になる本に出会ったことがなかった!
新疆ウイグルカシュガル地区 (トリップアドバイザー提供)
まさしく近藤史恵プロデュースのミステリーツアーなのか?
気がついたら最後まで一気に。
夫が仕事の休日のおともには最適でしたね(笑)
お願いだから、読み終わるまで帰ってこないでー!って。(夫よ、ごめん)
ラストは私もいっしょにタクラマカン砂漠にいました。
うん。たしかに砂漠に行ってきた気がする・・。
おかげさまで、シルクロードの妄想旅ができました。
結末で、タイトルに納得するという。
これは読んでからのお楽しみです。
読みたてで熱く語っちゃいましたが、
私のブログにいらしてくれる旅が好きな方や、沢木耕太郎さんの深夜特急とか五木寛之さんの旅ものの本が好きな方、そんな貴方にぜひ読んで欲しい一冊です。
近藤史恵作品の中ではちょっと異色なので賛否両論のようですが、自分の中では大発見でした!