そろそろ、この季節がやってまいりました。
秋の夜長に、本を読む・・。
忙しくてなかなか難しいけれど、すきま時間に少しずつ読んでいます。
でもね。
少しずつ読もうと思っていても、途中でやめられない本ってあるんですよね。
やめられない止まらない♪ “かっぱえびせん” のような・・。(古い?)
その世界に引き込まれてしまって、なんと1冊を1回の読書タイムで読みきってしまっ
た小説。
最近出会ってしまいました。
その小説が、
小池真理子さんの『無花果の森』
東京都知事は小池百合子さん。やや似てます。
小池真理子 『無花果の森』 | 新潮社 より引用
小雨の降りしきる午後、夫の暴力に耐え切れなくなった新谷泉は、家を飛び出した。隠れ場所を捜し、ごくありふれた地方都市に降り立った彼女は、狷介な高齢の女性画家に家政婦として雇われることになる。降り続く雨のなか、時間だけが静かに流れゆく日々を過ごす泉は、思いがけない人物と出会う……。追いつめられ、全てを失った男女の愛と再生の物語。芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
あとで調べたら、2年前に映画化されたとのこと。
それ、納得!
たまたま、季節ものの無花果(いちじく)が付いているタイトルに惹かれて図書館で借りました。
簡単に一言で言うと、映画監督の夫のDVから逃げてきた妻の、地方都市での逃亡生活
をつづった物語。
その地方都市と言うのが岐阜県の大崖という架空の町。
どうやら、実在する大垣市がモデルのようです。
主人公である泉は失踪を装い夫から逃げて逃げて、たまたまたどり着いた過疎化
している大崖の街で名前を偽って暮らし始めました。
おろしてきた貯金は68万円。(具体的。こういうのにぐっとくるのね、私)
張り紙で見つけたアルバイト。
住み込みで画家である老婆のお世話、いわゆる家政婦のようなお仕事。
訳ありだと知っていても、だまって雇ってくれた画家の老婆。
しかも寝床もあるし、お給料ももらえる。
この人との出会いがポイントなんだなぁ。
庭に無花果の樹々が生い茂っている家で、
絶望や死を選ばず、偽名を使ってでも生き伸びることにこだわり続けて暮らす日々。
そして老婆画家の行きつけの店の店主、毒舌オカマ、サクラとの出会い。
さらにサクラの店で働く同じ逃亡者である、鉄治との再会。
(再会という言葉を使った意味は、読んでからのお楽しみ。)
登場人物は、この強烈な4人のみ。
行動範囲は大崖の町の中だけで、狭い狭い。
だから、つまらない話なんじゃない??と思ったら、それが!
私の好きな要素、逃亡生活や芸術家が出てくること、あとアングラな世界ね。
けっこう何拍子も揃っていたので、ドはまりしちゃったのかな。
どうやって終わるのかが知りたくてというか、私たちこの先どうなっちゃうの?
という気持ちを、不思議なことに登場人物と共有しながら読んでいました。
そして気がついたら最後まで一気に。
読後感(読み終わった時の感情とでもいうのかな)がイイって、他の方のクチコ
ミにもありましたが、それもわかる。
バブル期に、浮かれた若者と呼ばれていた私と同じ現在アラフィフ世代のみなさ
んは、林真理子さんを筆頭にあの手の恋愛小説が大流行したこと、ご記憶にある
かと思います。
でも私、あのころは『恋愛小説くそくらえ的な女子』だったもので、全く読んで
いませんでした。
恋愛小説、何故か今になって沁みます。
これも。
好きだった人や別れた人は、生活感のない芸術家肌の人。
その人をずっと、死ぬほど忘れられない。
忘れようとするために色んな努力をしてみる。
でも、びっくりするくらい、ふとしたきっかけとか瞬間とか、年月や時間がコ
ロッと解決してくれる。
そして何故か、出会ったばかりの現実的な男性の、ちょっとしたやさしさに弱く
なる・・・。
共感します!(おーい、何かあったのかい??昔。)
学生運動や世界を旅するバックパッカーを背景とした、私の大好きな要素たっぷ
りの小説もあるみたいだし、まだまだ読んでない小池真理子さんの本はたくさん
あるので、この出会いがなんか嬉しいです。
この秋、現実的な夫が寝てから、小池真理子タイムを楽しませてもらおうっと(^^)/
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